つぶやきしぶちん

「白鯨」

2006年10月27日 | つぶやきしぶちん


幼い頃、小樽水族館に連れてってもらった。
海辺の近くにトドのプールがあり巨大なトドが
沢山泳いでました。
地面はプールより迫り出しており、華奢な古い柵が
周りにある。

柵にしがみつきプールを覗き込むと下は深い海のようで
そこを信じられないくらいデカイトドがいったりきたりしている。

今にも壊れそうな柵が恐怖心を煽る。

そのプールの一角に檻がり、一際大きなトドが
閉じ込められていた。
「なんであいつは閉じ込められてるの?」父に聞いた。
「あいつは太りすぎているからあそこに入れられているんだな」
と答えてくれた。

真鍮の皿に数匹のイワシをトド用の餌として売っていた。
それをプールに入れると、バシャバシャと喧嘩をしながら
奪い合っている。
やはり大きな個体が強いので沢山食べる。
なるほど、だから閉じ込められているんだなと幼い私は
理解した。

しばらくトドを見ていた。

深く緑色になった汚れた海水の中をトドが泳ぐ
時には白い腹を見せ、時にはギョロリと濁った目を
こちらに向ける。
中には喧嘩で傷づいたのだろか、傷だらけのヤツもいる。

怖い。怖い。

この感じ。そうだ「白鯨」だ。
怖いが、最後まで見届けたあの映画そっくりだ。
この柵が壊れ下に落ちたら・・・
白鯨のクライマックスを思い出す。
幼い私は、ガクガクと足が振るえ柵から手を離し
後ずさりしていた。

「おい、次行くぞ」父が声をかけてきた。
「あ、うん」映画の中に入り込んでいた私は正気を取り戻し
家族の後についた。

              ・

この時の体験はいつまでも忘れられなかった。
ついこないだも夢で見た。
柵が壊れ私は落ちる・・・何故か透明度がある。少し苦しいが
息が続く。
周りをトドが泳ぐ、1匹の大きなヤツがこちらに向って
きてギロリと私を睨む・・・・

どんどん近づいてくる。
あいつはトドじゃない!

は、白鯨だ!




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